【新刊】鴨川ランナー
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【新刊】鴨川ランナー

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■枯淡苑のコメント
英語を母語とする青年が京都を訪れ、異国文化と自身への葛藤を抱きながら成長していく日々を描いた表題作(第2回京都文学賞一般部門・海外文学最優秀賞受賞作)、結婚式の牧師役に就く外国人をややコミカルに映し出す『異言(タングス)』の中篇2作を収録した文芸作品。

著者のグレゴリー・ケズジャナットは2007年に日本の大学に留学し、2021年時点も国内で大学の准教授の職に就いています。本書における、日本で暮らす外国人を描いた2篇は共に半自伝的とも捉えられます。

現地人からの扱いが理解しきれずとまどい続ける、憧れの国だったのに飽きてくる、同一言語を話すコミュニティに嫌悪感を覚えるなど、外国で暮らすことに対する幻想を崩していく不条理かつ普遍的な現実は、海外に中長期滞在したことがある人にとって馴染みがある箇所を多く見つけられるかもしれません。

そういったやるせなさも地続きに、細かな描写は極力削ぎ落とされ淡々と物語は進みます。特に『鴨川ランナー』では2人称視点をうまく活かした展開と仕掛けによって、時を経て変化する主人公の境遇や考えは複層的に楽しめるものになっています。

また、近年の機械翻訳で得られる「外国語がわかる」とは違った、言語学習者が外国語を血肉する過程(喜びと苦しみの両方)をじっくりと味わえます。外国語の表現が自らの考えを表すのにぴったりとくる、その瞬間に心揺さぶられる感覚を、控えめながら美しさを感じられるよう描写した場面が一押しです。

使用言語はその人の思考や人格を変えるとも言いますが、本書ではそのはじめの一歩と行き着く果てが垣間見えます。留学を経験した方、これから経験する方はぜひご一読を。

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■紹介
日本と世界の狭間で生まれた中篇2本。

「鴨川ランナー」……外国から京都に仕事に来た青年の日常や、周囲の扱い方に対する違和感、その中で生きる不安や葛藤などを、「きみ」という二人称を用いた独特の文章で内省的に描く。京都文学賞受賞作。
「異言」……福井の英会話教室を突如やめる羽目になった主人公は、ある日同僚の紹介で結婚式の牧師役のバイトを紹介されるが……。

■著者プロフィール
グレゴリー・ケズナジャット  (グレゴリー・ケズナジャット)  (著/文)
1984年、アメリカ合衆国サウスカロライナ州グリーンビル市生まれ。2007年、クレムソン大学を卒業ののち、外国語指導助手として来日。2017年、同志社大学文学研究科国文学専攻博士後期修了。現在は法政大学グローバル教養学部にて准教授。
2021年、表題作「鴨川ランナー」にて第二回京都文学賞を満場一致で受賞した。


■その他商品情報
出版:講談社
判型・頁数:四六変型判、178ページ
発売日:2021年10月27日