
■枯淡苑のコメント
1943年生まれのフランスを代表する庭師・修景家による思想と実践が語られる庭園論。
自然界と同様に植物の動きを植物自身に任せ、庭のかたちが変わり続ける「動いている庭」は、従来の秩序を求める庭園づくりに反して、空き地や放棄地の植生から着想。
本書は主に世界各地の植生のレポート、そして「動いている庭」の壮大な実験の具体と実践という2部構成。ⅩⅤ章以降では「惑星という庭」というテーマとの関連を探ります。
庭の形に合わせた植物の配置、野原に蒔いた種子リストとその経年劣化を追ったデータや、原価、技術仕様など詳細なメモを掲載。
また、図鑑を思わせるほどの豊富な草花と庭のカラー写真のほとんどは、著者クレマン自身によって撮影されています。
原本は1991年に刊行され、その後大幅な増補改訂を繰り返しています。膨大なデータとうねる思索にあふれた強健な庭園論。
(原題はLE JARDIN EN MOUVEMENT)
- ボタニスト パリの標本館を築いた植物学者たち
- Can You Hear The Wind Blow
- 何もしない
- 「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護
■目次
序
I 秩序
II エントロピーとノスタルジー
III 奪還
IV 荒れ地
V 極相
VI 動いている庭
VII 実験
VIII ずれ
IX 放浪
X アンドレ・シトロエン公園の七つの庭
アンドレ・シトロエン公園の七つの庭の植物
動いている庭にまいた種子のリスト
連なりの庭の植物リスト
XI 新たな動いている庭
1 ローザンヌのフィセル
2 レイヨルの園
3 リヨン市
4 シャンブレ
5 ブルジュのレゼネ採石場
XII 動いている庭と共通点をもつ庭
1 ロシュ=ジャギュ
2 トレデュデ
3 モンジャック
4 その他
XIII 野原
野原にまいた種子のリストおよび経年変化
XIV サン=テルブランのジュル・リフェル農業高等学校
結論——動いている庭についての
XV 動いている庭から惑星という庭へ
1 評価
2 整備
3 教育
4 リサーチ
続きを待ちながら
補遺
1 アラン・ロジェ「動いている庭から惑星という庭へ」
2 惑星という庭・自然・農業
訳者あとがき
文献
植物リスト
■その他商品情報
著:ジル・クレマン
訳:山内朋樹
出版:みすず書房
判型・頁数:A5変型判、336ページ
発売日:2015年2月26日