枯淡苑のおたより | 10月号

〈お店のこと、松本のこと〉

こんにちは、枯淡苑の〈本担当〉です。「枯淡苑のおたより」では、お店に関する最新情報をお知らせします。

10月に入り、全国的に日々の感染者数が下がり始め、人々もやや落ち着きを取り戻したような雰囲気が出てきています。

私はようやく先日に無事ワクチン摂取完了して、少し安堵の感に浸っています。が、まだまだ世界的には収束には程遠い状況で、国内も次の波が来ることを前提に慎重に生活していかないとですね。

さて、お店の変化ですが、まずは暖房を入れました。

今年は夏にエアコンを入れたこともあり、去年よりは快適な冬になることを期待です。もう一つはこれから起きる変化の話ですが、今後そう遠くない時期に営業日数を増やすことを目指し、諸々の準備をおこなっています。
それに伴いちょっとした工事や設備の購入など、地道に進めている最中です。

 最後に、当店特製の標本栞が「ドライアンドラの葉」になっています。在庫なくなり次第終了です。

〈新入荷〉

 

〈今、気になっている作品〉

 今回は今読んでいる本について。まだ読みかけです。

10月に出た早川書房の本『何もしない』という本にときめいてます。著者はジェニー・オデルというメディア・アーティストで、テクノロジー反対派ではありません。趣味は野鳥観察だそう。

原題は『How to Do Nothing: Resisting the Attention Economy』とある通り、主にインターネット上で巧みな技術を用いて私たちの注意を奪い、金銭に換えていくアテンションエコノミー(注意経済ともいいます。例えばSNSや検索エンジンでの"私個人向け"の広告が当てはまります)に対してどうアクションを取れるかというものがテーマになっています。このお題はこれまで数多く類書が出ています。

しかし同テーマを扱う研究論文やビジネス書とは違い、「ここが良い/悪い、こうすれば良い/悪い」のように白黒つけた答えを教えてくれる者ではなくて、著者と共に思索していくことが主な構成です。ぐねぐねと畝りながら落穂拾いをするような、自発的な思考を促すような本でしょうか。

序盤までしか読めてないですが、デジタルデトックスを生産性向上のための単なるライフハックとして見做してしまう虚しさやアンバランスさを見つめつつ、テクノロジー脱依存を目指す人々が抱えるさまざまな矛盾も交えて、点と点を結んでいく過程がじわじわと効いてきます。前述の通り、白黒つけようとする本が多い中で「一緒に考える」スタンスが垣間見えるのです。

先日とあるカフェに行って、自分含め、勉強や仕事などで生産性高く過ごそうとする人々が多くいて「そういえばカフェってこんな場所だったっけ?」とあらためて疑問符が。正しさや歴史的背景はさておき、もっと言えば「ティータイムってこんな時間だったっけ?」とも。

そんな中、この本のことを思い出し、外の景色を眺めて、建物の照明、雨、車、人々をひたすら見るだけをしてみたんですが、こんな軽く気持ちを切り替えることですら「勇気がいる」ということに気づいて、自らの人生観もまだ生産性に囚われてるんだなと実感しました。

もっと無益に生きることが否定されず認められる世の中になればなあ、とも思います。果たして、次の選挙はどうなるか。

吟味する/しない、関心ある/なしにかかわらず、わたしたちの暮らしに必然的にかかわってくることなので、せめて少しでも投票に行く方が増えてくれると嬉しいですね。

本書はまだ当サイトには上がっていませんが、当店でも販売中です。

〈告知〉

直近の取り扱い商品としては、紙もの雑貨、ハーブティーが増えていく予定です。

また、クリスマスシーズンに向けて小さな企画展を準備しています。こちらも準備が整い次第あらためて詳細告知させていただきます。