■紹介
デジタル時代を迎えたデザインは、「情報を公開する技術」としての性格を強め、そこに出現した文字は、言葉とのズレと不安にふるえている。デザインの基本と実践を詳細に分析し、「ページネーション」「フォーマット」というキーワードを、現代文化・社会を見直すための概念へと鍛え上げる。
■目次
まえがき ページを生み出す力
1 文字
タイポグラフィとは何か
文字の不安
滲む文字
東大明朝を解説する
テクストは文字の集合か 東大明朝「六万四千漢字」を批評する
書くことの孤独から 石川九楊「文学は書字の運動である」をめぐって
書体の向こうの鈴木勉
2 デジタル化されるデザイン
集合名詞としての作者名
デザインとことば
日本語の特質とデザイン
印刷という定点
3 ページネーション
ページネーションは生命の活動である
ページネーションとは
『シカゴ・マニュアルとの出会い』
「ページネーション・マニュアル」の提起
行を演出する
4 フォーマット
版面の内と外
フォーマットの誕生
しごとの角度
余白は孤独ではない
衝突する場としてのページ
5 法とデザイン
知恵蔵裁判とはなにか
知恵蔵裁判を語る
本文がない
見える/見えない 「知恵蔵裁判」と『知恵蔵裁判全記録』
6 テクストから書物へ
その場から身をひき剥がす
書物の敷居学 ジュラール・ジュネット『スイユ テクストから書物へ』
デザインという空間
平面と立体 杉浦康平と書物
文学にフレームを与える 菊池信義の装幀
切断する傍点 金井美恵子『重箱のすみ』
7 間メディア
線的思考 複製論3
8 小ささへ
文字の前後左右 近代活字の諸問題
編集のはじまる場所
版面はたたかう ブック・デザインのなかの凶暴さ
あとがき
増補新版へのあとがき
索引
初出・もとになった原稿
■その他商品情報
著:鈴木一誌
出版:青土社
判型・頁数:四六判、432ページ
発売日:2018年12月11日
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