【新刊】混血列島論 ポスト民俗学の試み

【新刊】混血列島論 ポスト民俗学の試み

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■紹介
わたしたちは混血している。

サントリー学芸賞受賞の批評家が、文学、映像、フォークロア研究を交差させながら、太平洋の島嶼という視点で日本列島(ヤポネシア)に宿る文化の混淆性を掘り起こす、新たな民俗学。

サハリンから蝦夷、沖縄、台湾まで。
異なる文化の邂逅を追って。


批評、映像、民族学といった分野を越境しながら、さまざまな著作や翻訳を発表している映像作家・批評家の金子遊。
いまもっとも注目されている気鋭の書き手の最新著作にして重要論集がついに刊行。

小説家の島尾敏雄は、日本列島から南西諸島にかけての島々を「ヤポネシア」と呼び、日本国ではなく日本列島として捉えようとした。 そして、民俗学者の谷川健一は、この「ヤポネシア」全体に見られる文化や民俗を、朝鮮半島や大陸、そして台湾、フィリピン、インドシナやマレーなどの半島、インドネシアの島々との関係で考えようとした。

日本列島や南西諸島を構成する島々は、最初から「日本」であったわけではない。さまざまな種族が、さまざまな文化様式や時代性をもってまだら状に混在し、それぞれの地方における歴史は独自で異質な時間の系列を進んできた。
それが列島のヤポネシアという本来の姿であり、混淆的である日本列島人や「混血列島」のあるがままの姿なのである。

谷川健一の思想にみちびかれて、ヤポネシアとしての日本に、さまざまな異質性と重層性をはらんだ、あるがままの「混血列島」を再発見する画期的著作。

■目次
prologue 混血列島論

Ⅰ 旧植民地をめぐる旅
 対岸のアラベスク―マイケル・タウシグと樺太先住民
 首を狩るひと―鳥居龍蔵の台湾フィールド写真
 接木の王国―アカ族から新嘗祭へ

Ⅱ マイノリティの人類学
 悪魔祓い―映像でよみがえるアイヌの呪術
 草葺き小屋のイザベラ・バード」
 砂川のインディアン―亀井文夫とデニス・バンクス

Ⅲ 海人のフォークロア
 オホーツク 漁る人びと 土本典昭論
 交雑する池間島 伊良波盛男の詩
 竹富島の神司―神秘体験の聞き書き

Ⅳ ヤポネシアに谺する女声
 花綵列島の独唱曲 島尾ミホ 
 大神島の媼亡ければ
 戦時の人類学 ルース・ベネディクト

Epilogue 巫娼たちの渚 奄美大島

あとがき

■著者プロフィール
金子遊  (カネコ ユウ)  (著)
批評家、映像作家、民族学研究。『映像の境域』(森話社)でサントリー学芸賞(文学・芸術部門)を受賞。他の著書に『辺境のフォークロア』(河出書房新社)、『異境の文学』(アーツアンドクラフツ)、『ドキュメンタリー映画術』(論創社)。
編著・共編に『フィルムメーカーズ』『吉本隆明論集』(アーツアンドクラフツ)、『クリス・マルケル』『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(森話社)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250』(河出書房新社)、『アピチャッポン・ウィーラセタクン』(フィルムアート社)、『映画で旅するイスラーム』(論創社)など。共訳にマイケル・タウシグ著『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』(水声社)、ティム・インゴルド著『メイキング』(左右社)がある。


■その他商品情報
出版:フィルムアート社 
判型・頁数:四六判、288ページ
発売日:2018年3月24日