【新刊】コモンズとしての日本近代文学

【新刊】コモンズとしての日本近代文学

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■枯淡苑のコメント
パブリックドメイン(著作権切れ)となった日本近代文学作品を、インターネット電子図書館『青空文庫』から選び抜かれた21編と、著者による解題・解説・批評が詰め込まれた一冊。

本書では、原作初版本の本文の画像と、原作の抜粋(作品によって全文)を掲載。作品ごとにレイアウト・フォントが使い分けられており、ぱらぱらと見比べてみるだけで、まるで波のように迫ってくる凄みを感じられる。

面白いのは、①本書の構成は著者の読書過程(読むことには意識の中で"書く"ことが含まれるという入れ子構造)を表現して編まれたものであり、②この手法は著作権切れの作品を扱うが故に、どんな人でも再現可能なものになっているということで、要はこのやり方で誰でも本が作れてしまうのだ。

実は電子出版プラットフォーム「medium」で特設ページが設けられており、著者の論評を無料で読むことができます。とはいえ、先に書いたデザインの妙を堪能したい方は、書籍で読まれるのをおすすめしたい。

■紹介(版元ドットコムより)
日本近代文学は、いまや誰でも今ここでアクセスできる我々の共有財産(コモンズ)である。そこにはまだまだ底知れぬ宝が隠されている。日英仏の文化とITに精通する著者が、独自に編んだ一人文学全集から、今の時代に必要な「未来を作る言葉」を探し出し、読書することの本質をあらためて問う。もう重たい文学全集はいらない。

■目次
はじめに
文芸オープンソース宣言

寺田 寅彦『どんぐり』
織り込まれる時間

夏目 漱石『夢十夜』
夢をいきる時間

柳田 国男『遠野物語』
死者への戦慄

石川 啄木『一握の砂』
喜びの香り
 
南方 熊楠『神社合祀に関する意見』
神々と生命のエコロジー

泉 鏡花 『海神別荘』
夢と現実の往還

和辻 哲郎『古寺巡礼』
結晶する風土

小川未明『赤いろうそくと人魚』
死者と生きるための童話

宮沢 賢治『インドラの網』
インドラとインターネットの未来

内藤 湖南『大阪の町人学者富永仲基』
アップデートされる宗教

三遊亭 円朝『落語の濫觴』
落語の未来

梶井基次郎『桜の樹の下には』
ポスト・ヒューマンの死生観

岡倉 天心『茶の本』
東西翻訳奇譚

九鬼 周造『「いき」の構造』
永遠と無限の閾

林 芙美子『清貧の書』
世界への信頼を回復する

谷崎潤一郎『陰鬱礼賛』
闇のウェルビーイング

岡本 かの子『家霊』
呼応しあう『いのち』

折口 信夫『死者の書』
死が媒介する生

中谷 宇吉郎『西遊記の夢』
本当に驚くような心

柳 宗悦『雑器の美』
アノニマス・デザインを愛でる関係性

山本周五郎『季節のない街』
全ての文学

■著者プロフィール
ドミニク・チェン (ドミニクチェン) (著/文)
1981年生まれ。博士(学際情報学)。特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事。NTT InterCommunication Center[ICC]研究員, 株式会社ディヴィデュアル共同創業者を経て、現在は早稲田大学文化構想学部准教授。一貫してテクノロジーと人間の関係性を研究している。近著に『未来をつくる言葉―わかりあえなさをつなぐために』(新潮社)がある。その他の著書として、『謎床―思考が発酵する編集術』(晶文社)、『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック―クリエイティブ・コモンズによる創造の循環』(フィルムアート社)など多数。

■その他商品情報
出版:イーストプレス
判型・頁数:A5判、 320ページ
発売日:2021年8月20日